児島先生インタビュー編

・施設名   児島宅にて(フィンランド)
 ・訪問日   2003年9月21日 日曜日
 ・対応者   児島宏嘉
 ・施設の概要 -
 ・研修内容、質疑応答内容

 明日からフィンランドの視察をするにあたり、38年にわたってフィンランドに生活をしておいでる、ラハティ職能大学の児島先生にフィンランド事情をお聞きした。

NAT.フィンランドでは視覚障害者の方へのITの利用環境や、支援はどのようになっていますか。
児島.視覚障害者だけというのは詳しくないので、身体障害者全体についてしか知らないが、フィンランドではリハビリセンターへ行くよ。だいたい1回、3週間ほど利用することになっていて、その間はITを自由に利用する場所がある。ただし、自分で利用できる人しか使えず、その利用に関しての支援はないね。

NAT.学生以外(勤労者や高齢者)へのIT支援はどのようになされていますか。
児島.フィンランドでは成人学級(生涯学習)が発達していて、今はコンピュータ教室が花形。夜6時から2時間くらいのコースが普通。公的機関が主催していて、わずかな金額をだせば参加できる。金額は「まじめに参加させる」程度の金額で、不足分は自治体が補助しているのだろうな。主催は主に町。人数が少なくなるとその講座は無くなるのだ。

NAT.フィンランドでのボランティアの活動はどうなっていますか。
児島.フィンランドにボランティアという考えはないよ。お金はとるけれども国がきっちりと面倒をみてくれるから。フィンランドの消費税は22%。もっとも本は8%ですし、商品によって違います。 なお、人口比率は日本のようにいびつではないなあ 。年金はだいたい30年程度勤続していると、引退してもほぼ満額をもらうことができるよ。支給額は民間勤務の場合は最終の10年間の約60%の額。そして公務員は66%、その格差が問題になったりするなあ。

NAT.フィンランドはIT利用に関して世界的にトップレベルにあると言われていますが、国でそのような施策をしているのですか。
児島.小学校では授業でITの利用方法を学んでいるよ。町へ行くと、インターネットカフェにハードがおいてある。全家庭にコンピュータを持っていることはない。普及率に関しては具体的な数字はわからないな。職場のコンピュータのEメール利用が問題になる事もあるね。

NAT.インターネットはどこのメーカーが強いのでしょう。
児島.ノキアが牽引していると言えるかな。

NAT.携帯電話は電話以外にどのような使われ方がされていますか。日本の場合は一人一台もっています。日本では携帯でメールを使う場合が多いですが、こちらではどのように使ってるのでしょう。
児島.メッセージを番号で入れる事ができるので簡単だよ。Eメールではなく、番号をいれるとメッセージを送ることができるよ。また、電話番号がメールアドレスになっている。もちろん、携帯でメールを送ることができるし、プロバイダー料がいらないしね。

NAT.日本だと電話番号と同じだと迷惑メールが多く届きますので、現在電話番号をメールアドレスにしている人はほとんどいませんが、こちらではそのような事は無いのですか。
児島.そんなメールは入ったことがないなあ。

NAT.フィンランドの場合携帯を扱う会社は何社あるのですか?
児島.4社くらいあるかな。ノキアはガリバーだよね。その4社間でメールを相互に送ることができますよ。

裏庭にある湖の写真
裏庭にある湖 この前にサウナ部屋がある
NAT.日本は電話会社が違うと送ることができないのですが。
児島.フィンランドでは、会社が違っても大丈夫ですよ。

NAT.携帯には、そのほかの機能はどんなものがありますか。
児島.まあ、たくさんの機能はあるけれども使いこなせてないなあ。こちらでは、携帯メールに振り回されているのは中学生までかな。高校生になるとそのような事はないですよ。 中学校を卒業すると、子ども達は独立意識が強いですから、高校では自立。卒業すると完全に自立しますよ。学校へ行けば銀行からお金を借りることもできる。出席日数が足りなくなるとお金はとめられるので真剣ですけど。

NAT.大学の進学率はどれくらいですか。
児島.職能大学を入れた大学への進学率は40%ぐらいかな。日本だと、職業大学より大学の方が値打ちがあるとみる場合が多いようだけど、こちらではどちらも一緒にみている。職業の専門教育をでても低くはみられない。でも大学を出た方が給料はよい場合が多いかな。ラハティ職能大学は、非常に実力がありますよ。卒業後ヘルシンキのデザイン専門の大学へ行き、博士号を取る学生もいます。

NAT.携帯はどこでも利用できるのですか。
児島.携帯は、ヨーロッパ全域で利用できる。GMS規格というのになっているのだ。

NAT.家庭にパソコンはありますか。
児島.家庭にパソコンはない方が多いだろう。学校や職場にいけば十分につかえるから、特に不便には思っていないのではないかな。わが家ではADSLでインターネットを利用しているよ。

児島先生写真
児島先生
NAT.ADSLの利用料金はおいくらですか。
児島.月々50ユーロかな。

NAT.学生はどうやってインターネットを利用しているのでしょう。
児島.学校では自由にやっている。いつ何をやってもよい事にはなっているけど、どのように利用しているかはセキュリティチェックをしているね。



NAT.成人学級ではどのような事を教えているのかもう少し詳しく教えてください。
児島.家庭にはコンピュータがあまり無いので、カルチャーセンターで勉強をします。ここで勉強をして、どのようなコンピュータを買うかを決めることができる。カルチャーセンターの講座でよく見るのはホームページ作成や、エクセルの使い方ですね。

NAT.フィンランドでは視覚障害者のグレードがわかれているのか
児島.分かれている。補助の出方が違う

大木の写真
裏庭の大木
NAT.フィンランドの良いところと悪いところを教えてください。
児島.フィンランドは、個人の自由は日本以上にありますね。会社でも上役との関係を保つためのおつきあいの必要はないし、上司への付け届けやゴルフのつきあいも不要だ。仕事時間は9時から午後5時までというところが多いかな。終わったらさっさと自分のやりたいことをやる。時間が来たら切り上げて自分の時間として使うのです。また、定年になってから働く人はあまりいないな。

NAT.自由時間はどうやって過ごすのですか。
児島.仕事は9時から5時が多い。終わったらすぐに帰宅する。残業をすることは考えられないですね。以前にリストラで多くの人を切ったから、しょうがないからやっているという人もいるよね。失業率18%くらいまでいった。現在でも確か10%のはず。 こちらでは共稼ぎが基本なんだ。家庭にかえって、ジョギングへ行ったりするかな。 フィンランドでは夕食を作らなくてもよい家庭が多いよ。温かい食事はお昼だけかな。こちらは、とても粗食なのだ。歴史的にみて、貧しい国だったからね。クリスマスはおなか一杯食べられるからうれしいとみんなが言っているよ。

NAT.日本は飽食…といえるかな。
児島.フィンランドの悪いところは、労働というものの考え方だな。自分の時間を売るという考え方が多い。技術を売るのではなく、束縛されるという考え方が強いね。日本はなし崩しに、サービス残業したりするというのがあるが、こちらでは無いよ。時間が来たら切り上げるのです。

NAT.日本の福祉でもデイサービスなどが問題になっていますけれども。
児島.こちらのうらにある思想は、”継続可能”というのがある。無理したら継続できないでしょう。継続させるには、無理をさせないという考えなんだよね。公務員は時間を売っていると言っている人が多いね。近いところがある。いろいろな視点があるけれども。定年になると自由な時間が増えるし、悠々自適といえばそうだけど。

NAT.日本の場合は、受給年齢が繰り下げになって、退職してから年金をもらうまで5年間どうやって暮らすかという問題が先送りになり問題がおきています。フィンランドではローン地獄などありますか。
児島.あるよ 。なお、消費者金融はない。退職金制度は無いね。

NAT.定年後の保証は、どうなのですか。
児島.しっかりしているかな。6割保証されるから。官民格差というのは問題はあるけど。こちらは、定年になってから働いたら税金でもって行かれるので、あまり働く人はいないな。

NAT.定年後は、いったい何して遊ぶのですか
児島.釣り。絵を描く。したいことはたくさんあるけれど。

NAT.個人事業主はどのようになっているのでしょうか。
児島.一人で働いている人の場合だけど、企業主の年金は65歳かな。リタイヤしないで年金をもらわなければ良いのかも。

NAT.家族の介護の実状を教えてください。
児島.自分の家族の介護をしても、補助金はもらえるよ。日本のようなただってことはないよね。基本的に親子でも子供が大きくなったら同居をしないのが普通だし。まして、三世代ってことはほとんど無いね。

湖畔のボート置き場の写真
湖畔へサイクリング


フィンランド視察記録へ