Celia(盲人図書館)

・ 施設名 Celia(Library for the Visually Impaired)視覚障害者用図書館
・ 訪問日 9月26日(金)12:30~13:30
・ 対応者 PAIVI POUTILAINEN(バイヴィ・ポウティライネン)
  http://www.celialib.fi/english.html
施設の概要
Celia Library for the Visually Impaired は、政府の資金援助を受けている図書館でそのサービスはフィンランド全国で受けられ、視覚障害者に適したフォーマットで出版物を製作する情報源の役割を担っている。19世紀の終わりに、Cely Mechlin という女性によって盲人のための図書館として設立され、1972年に現在の位置に移った。1978年から国立となり、現在は教育省の文化教育局に位置づけられ、フィンランドでは視覚障害者のための公的な唯一の図書館である。NKL新施設完成時には、その中にこの図書館も移転予定である。

創立者セリアの盾の写真
創立者のセリアさんの盾
研修内容
(1) 図書館の目的: 
障害者が情報に等しくアクセスできるよう保障することである。そのために、点字図書などの製作、貸し出しを行い、印刷字が読めない障害がある人たちに有効であると考えられているさまざまなツールを提供している。また、コミュニーケーションにおける専門的なサービスも提供している。

(2) 設立の背景: 
目の見えない人のためにのスウェーデン語の点字図書を自分たちの手で作成し始めた一人の婦人の活動からはじまった。彼女には政府から保障されるべきであるという強い信念があったこと、政治家の父がいたことが幸いし、広い活動をすることができた。20世紀になってから政府に認められ、補助を受けることができたのは、彼女の功績である。

(3) 蔵書の種類の特徴:
19世紀の末には、点字出版物もあったが、それはほとんどが教材であり、教科書であった。Celyは点字出版をする図書の対象として特に文学に力を入れた。このことが現在の図書館の考え方の基盤となっており、多くの文学書やその他さまざまな分野の図書が保管されている。



本棚の図書の写真
本棚の図書
(4) 図書館サービス:
 図書館では、点字図書、録音図書、教科書の電子図書、フィクション、ノンフィクション、雑誌、学生用の講義のノートの作成、データベースの情報検索などのサービスを実施している。 図書はすべて借りることができ、直接図書で借りるほか、電話や電子メールでの貸し出も可能である。特徴的なのは、広い文学の分野(小説、詩、ラジオ劇まで)、幼児のための触覚絵本や浮き彫り絵本、点字音楽、点字雑誌、電子ブック、情報検索、フィクションからノンフィクションまで幅広く対応している点である。

録音図書の写真
録音図書
(5)対象者(利用者): 
利用者は、視覚障害者のみならず、視覚障害の証明書があれば利用できる。利用料は無料であり、現在フィンランドの利用者は15000名程度で、一般の地方の図書館からの貸し出し依頼も受け付けている。250の図書館がここのサービスを受けている。また、他国にも多く貸し出している。

(6) 図書の製作:
 1年で1500から1600冊の本を製作している。内訳は点字図書が300、数百の教科書、800~1000の録音図書(音声図書)である。全国の盲学生の教材や教科書はこちらで作られており、普通の学校に通う学生の教科書もこちらで提供している。図書の製作は、NKLのほか地方に3箇所スタジオがあるが、プロデュースはすべてここでやる。超専門書など読者が限られるようなものはNKLのサービスに依頼する。
 録音図書(音声図書)の製作する場所は5つの機関がある。このセリア図書館にも小さなスタジオがあり、NKLとその他民間3社(EX. WESOY出版社など)である。 

(7) 本の選択基準: 
この図書館では一般本、たとえば小説などにも多く対応しており、その選択基準は、サービススタッフが選んでいる。盲人の利用者からの要望に応えたり、ベストセラーなどなるべく多くの利用者を意識して選んでいる。また、地方の歴史の本などはよく作成される。その他、特別な分野の本など利用者の少ないものはNKLが製作担当してくれる

(8)録音図書(音声図書):
 現在はほとんどカセットテープを利用している。新図書館になったときには、CDに切り替えていく。CDの電子図書のいくつかはDAISY図書として作成されているが、本格稼動は新図書館で実施する予定。(普通のCDでは70分しか入らないので10枚になることもある。DAISYシステムだと本が1冊はいる。MP3の利用。)
本図書館には、日本のかわむらひろしさんが支援をし、フィンランド語対応のシステムができている。これはまだ将来のものである。現在はカセットテープが主流。
カセット図書の棚の写真
カセット図書の棚
* DAISYとは、Digital Accessible Information Systemの略で、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにデジタル録音図書の国際標準規格として、12カ国の正規会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを表す。いわゆる圧縮技術を利用している。
 1986年、東京で開かれたIFLA(国際図書館連盟)の大会での専門家会議で視覚障害者のためのデジタル録音図書の標準化が国際的に議論されたことが始まりで、日本、スウェーデン、オランダなど6カ国が中心となって規格化が進められている。

(9)手作り絵本
 視覚障害をもつ児童のための、手作り絵本が充実しており、絵本のコンテストなども企画されている。手で触れる絵本というだけでなく、四角とはこういう形であるとか絵本を読みながら教育ができるような工夫がある。オリジナルなものばかりであるが、貸し出しも実施している。

(10)スタッフ
スタッフは、本の製作などもすべて含め60名である。

手作り絵本の写真(性教育用絵本)
手作り絵本
(11)インターネット上での本の内容公開の問題:
 インターネット上では、タイトル情報だけで内容の提供はしない。ただし、目の不自由な人への提供は何でも(点字、音声、電子)制限はない。逆に出版物は問題になるかもしれない。

(12)今後の予定:
 CD録音図書の作成、登録者の情報を記録して、履歴やその利用者の興味ある分野の図書の紹介などもできるようなインタラクティブなサービスを実現していきたい。(来年度新施設で計画)
各自のコンピュータからの貸し出しや一度借りた本の貸し出しは自動的に貸し出せる。
各自のパソコンから貸し出しができるようにする。
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