ヘルシンキの町並み(雨に煙るヘルシンキ)

 NKLをでて、トラム乗り場に向かった。まだ本降りとはいえないが、段々雨足が強くなっていくような気がする。トラムが着くやいなや、急いで乗り込んだ。雨に煙るヘルシンキの街並みを窓越しに見ながら、今朝のルートを戻った。窓には雨滴がつき、結構な本降り模様だ。こりゃ弱った。雨の準備をしていない者もいる。そこで、雨に濡れずにホテルまで帰るのに一番いいルートをヒルボ氏に教わることにし、ヒルボ氏から教わった通り、今朝乗った所の二つほど手前で降りた。ビルの中や駅の中をぬっていくのだが、雨に遭うのは駅へ行くのに道を横切るときだけで、なるほど一番いいコースだ。 雨の元元老院前広場の写真
雨の元元老院広場
 今日は研修終了後、自由行動とする事にしていたのだが、なぜか男組と女組でパターンがちがっている。女組はそれぞれ、デパートなどを巡って、買い物を楽しみたいという事であった。男組は、集団で市内見物に行くことに。やはり女は強い?
 一度部屋に戻り、身支度を整えなおして、市内見物に行くことにした。30分後に集合としたが、幸いにもその頃に雨は止んでくれた。取りあえずの目的地は、岩と光の教会として有名なテンペリアウッキオ教会だ。ホテルからは西の方になり、歩いて15分くらいの所のようだ。歩き始めてすぐにギリシャ風の神殿様式を持った荘厳な建物がみえた。立派な銅像などもあるが、ガイドブックによると国会議事堂となっている。日本と違って塀や門扉もなく、誰でも入れる図書館のようで、オープンなものだ。警備はどうなっているんだろうと、心配もしたが、要らぬおせっかいか?

国会議事堂前の写真
国会議事堂前
 テンペリアウッキオ教会への道すがらは、中世を思わせる尖塔建築物やヨーロッパらしい高さのそろった建物群など、いい感じで視界に入ってくる。
町並み探査中のメンバーの写真

後ろに見えるのが博物館
 教会へは地図を頼りに歩いているのだが、その道は、次の交差点を左に曲がって行くことになっている。しかし、地図上では丁度教会の手前で、その道が途切れているように書いてあったので、ちょっと心配した。
そして確かに道は交差点から遠目に見ると突き当たりとなっていたのである。しかし近づいて行くと、上部に抜ける階段がついており、ホッと安心した。この階段を登ると、そこに目指す教会があるはずだ。期待しながら階段を登っていった。「わぉ~」階段を登りきって目に飛び込んできたのは、道路を隔ててド~~ンとある岩盤!
教会を探して路地裏を行く写真
教会前の路地裏
その岩盤を取り囲むようにして、周りに高いビルがある。
岩盤を発見
この岩盤の下が教会
赤レンガの教会前のアパートの写真
教会前のアパート
 「なんじゃこれ?」一見すると何かの遺跡か単なる岩盤にしか見えない。どうも教会の裏側にでたようで、入り口らしいものが見えなかったせいでもある。ちょっと登ってみた。建築の付帯設備や石段があるが、基本部分はホントに天然の岩盤である。これまでも道路を走っていると所々で岩盤にお目にかかったが、フィンランドはこういう地質なのだろう。
 その岩山から教会への入り口を探したがよくわからない。よくわからないままであるが、なにやらドアのある所から降りて行ってみた。残念ながら、そこはたぶん付属の幼稚園のドアの様であった。ほとんど円形状の岩盤沿いに、約半周回ると正式な入り口があった。
照明が落としてあるのか、暗い。悪い予感がしてきた。
教会の上の芝生と岩盤の写真
教会の上の部分
 ドアも閉まっているが、フィンランドは寒いからだろうと勝手に解釈して、強引に、いやいや普通に開けに行った。しかし既に時間が遅いのか、開かない。ガラス越しに見える中の人も“今日は終わったよ”みたいな仕草をしている。なんてこったい!ま、我々も大人だから、今日はこれくらいにしといてやろう・・・・ク~~。また来るわ。でも今度は開いててね。お願い!仕方なくそのまま、宿方向にゆっくりと歩きながら市内の散策を続けた。天気は次第に良くなってきているようだ。 教会の入り口の写真
教会の入り口
 街は、ほんの少し暮れかかってきて、ネオンが点き始めていた。そんなヘルシンキの街には、トラムが良く似合う。雨上がり後のちょっと冷たい風の中、5人の男衆は次なる目的地に向かった。「今晩は何食べる?」そう、夕食だ。「そうだね、さっき宿に帰る途中にあった中華料理はどう?」 町の中を走るトラムの写真
トラムの写真
 お昼にNKLでいただいたライスで里心がついたのか、何の抵抗もなく中華料理店に行くことに決まった。先程通ったビルの中の通路のようなところにある中華料理店である。
 『長江飯店』とある。「わっ、高岡に来たみたい!」そう、高岡市長江、会長の住所である。「大根のよごしがおいしいかもしれないね。」「フィンランド風○○とかないかね?」などと騒ぎながら入店した。店員は、見るからに中国人だ。世界中どこにでもある中華料理店。恐るべし華僑パワー!テーブルに着くと店員がメニューを持って注文を取りに来た。「多分、大根のよごしはないだろうなぁ。」そう思いながら、メニューを皆で開いた。まず飲み物の注文だが、変わったものもある。“Long Drink”よくわからないが、注文した人もいる。
中華料理屋さんでの写真
本日の夕食は中華
 来てからのお楽しみだ。他の者も、一通り注文を終えた。さて飲み物が来る間に料理の方を考えるのだが、当たり前(なのかな?)ながら、料理名は漢字とフィンランド語で書いてある。漢字があるため、なんとか料理名は推測できる。が、やはり当たり前ながら、かつ予想通りに大根のよごしはなかった。そしてフィンランド風○○も・・・。そして結局注文したのは、チャーハン、焼きそば、麻婆豆腐・・・知ったものばかりだ。芸がない?・・・ん~~ん、そうじゃなくて、もっと漢字とフィンランド語の勉強しま~~す。やがて、飲み物が運ばれてきた。ワインに水そして・・・。注目の“Long Drink”は、ノンアルコールのカルピス風飲料と判明したが、当然アルコールと思って注文した主は、『あ~、いいですよ、僕はアルコールでなくてもいいですから、ハハハハ』そう言いながらも、顔は引きつっていた。料理は、微妙に味付けが日本と違っているが、そう差はない。チャーハンの米は、日本の短粒種ではなく、本場の長粒種であった。中華料理の味付けの基準を日本にするのもどうかと思うが、ま、許せる範囲内?
夕食その1
夕食の内容1
夕食その2 マーボ豆腐
夕食の内容2
 一部の者はノンアルコールではあるが、杯も進み、食も進み、いつものように話しは盛り上がった。話しの内容はやはり、ここフィンランドの地と日本との比較が中心である。みんな相当のカルチャーショックを受けているようであるが、冷静に日本でできることできないこと等も分析している。さすがNAT!夕食も満足のうちに終わった。後は自由!とばかりに街へ飛び出せばいいのだが、結局はスーパーによってホテルに戻るという、パターンに落ち着いてしまった。

  同じスーパーに2日目となると、どこに何が売っているのか大体わかってきて、売っている商品も落ち着いて見る事ができるようになった。それぞれに買い物をしているが、早速日本へのお土産品を物色しているメンバーもいた。日本とは食文化も若干違っているので、あまりお目にかかったことのないようなお菓子類が陳列されており、そんなものを買っていく算段のようだ。どうせ人に食べさせるのだから、なるべく怪しげな物の方がベターとばかりに、多分自分がもらったら食べないような、毒々しい物を選んでいた。そんなお菓子を手にして喜んでいる様がおかしく、また帰ってから同僚などに渡した時の顔を想像して、きっと面白いはず、と思わず私も買ってしまった。

 スーパーを出て、ホテルへの帰り道についた。ホテルに近づきかけたその時、「ビールが欲しいなぁ。」と言う声が聞こえてきた。幸い、ホテルのすぐ横、駅との間にKIOSKがあり、そこでビールを買おうということになった。時間は8時58分。店の中には先客が、これも急に飲みたくなったのか、冷蔵庫からビールを取り出し、レジで代金を払おうとしている。我がメンバーもその人に続けとばかりにドアを開け、店の中に売っている物にチョット目線を送りながら、冷えたビールの待っている冷蔵庫の所に歩み寄り、ドアを開け、中のビールを取り出そうとしたのが、丁度9時であった。その時である。

 レジの方から店員が、「ビールは売れません。」と、声を掛けてきた。「えっ???今、俺らの前の人が買って行ったやんか!なんでやねん。」あまりの唐突さのために、一瞬彼の目は点になり、起こりうるはずのない状態の出現にパニック状態になっているようにもみえた。彼の心の中では、『日本人は若く見えるから未成年に間違われているんかな?』などと思う超楽観的自己陶酔型から始まり、『格好が汚くて臭いでもするんかな?』と、日本人らしい“恥じの文化”による自己批判型、そして最後は『日本人に対する嫌がらせか?差別しようと思ってんのか!』と、戦争も辞さないような憤りの思いが同時に頭の中を駆け巡った(はずである)。彼の口は、そんな思いを店員に伝えようとしているのだが(相手がフィンランド人でもあり、何語で喋っていいのかという問題もあるだろが)、ただ立ち尽くし、唇が小刻みに震えているだけで、言葉にならないような声しか出ていなかった。

 店員は、そんな状態になる人を多く見ているのか、落ち着いたものでこう言った。「午後9時以降、酒類の販売はできないんです。」聞いてみれば何ということのないことだが、知らなかったものからすると、憤懣やるかたなく、ただ身体に脱力感を覚えるだけであった。でもこれで合点がいった。昨日、なぜスーパーで酒類が9時までの販売であったのかが・・・。2分位いいやんか!」外へ出た彼の声は、ひんやりとした秋風の中、ヘルシンキの街に呑み込まれるように消え去っていった。

  おやすみなさい。
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