ホテルからフィンランド盲人連盟(NKL)まで

 ヘルシンキでの朝を始めて迎え、9月23日(火)となった。
今日は、フィンランド盲人連盟(略称NKL)という団体を訪問することになっている。 通訳は、あの高岡でお会いした、元在日本フィンランド大使館一等書記官のサミ・ヒルボ氏である。8時過ぎにホテルフロント前で待ち合わせをしてある。 まずは、朝食である。2階のレストランで取ることになっているが、特にチケットもなく、そのまま行けばいいようだ。部屋には戻らず、そのままフロント前に行くつもりで、着替えや洗面を全て終えて、必要な荷物を持って、降りて行った。
 レストランは、天井が吹き抜けになっており、ガラスを主体にした構造は、なかなかにいい。天井の換気扇もデザイン的にいいアクセントになっているような気がする。

吹き抜けの天井の写真
食堂の天井の写真
食堂の天井
 もうすでにメンバーの何人かが、食べ始めていた。ここのホテルもビュッフェ式の朝食となっていて、結構いろんなものがあるが、ご飯や味噌汁、納豆など、和朝食は残念ながらない。
パン、オートミール、フレーク、ハム、ミートボール、卵料理、サラダ、ジャム、フルーツ、各種飲料・・・・多分五日間とも同じようなメニューだろうから、一度に欲張らずにいろいろ食べて見たいものだ。食べているうちに、全員集まってきたので、今日の研修の最終確認を軽くした。
交通手段はどうなっているのか、ヒルボ氏に任せてあるのだが、例えばタクシーを利用するかもしれないからと、本日の会計担当にお金の事や領収書の事をお願いした。

朝食ようす
研修は、予定によると9時~16時過ぎまでビッシリ詰まっている。
ちょっとハードすぎるきらいもないではないが、昨日の盲学校でも時間の過ぎて行くのが早く感じられた程に有意義だったから、今日も中味に期待しよう。
研修終了後は、各自自由行動ということにし、夕食は、ヒルボさんにヘルシンキの有名店というか、おいしい店を聞いてみて決めようという事になった。




朝食はこんな感じ
 8時過ぎ、フロント前の待合スペースで待っていると、あの見覚えのある顔が、このホテルに向かって歩いてくるのが確認できた。「来た、来た、ヒルボさんが来たよ!」
 こちらに来る前に一度お会いしている事やその後何度もメール交換をしているせいもあって、違和感も全くなく、友達感覚で再会したような気分だ。
ヒルボ氏と再会を喜ぶ佐野さんの写真
ヒルボ氏と久方の再会
団長早速今日の打合せをしている写真
日程打合せ中
 お互いの再開を喜び、初めて逢うメンバーもいたので、簡単に紹介挨拶を済ませた。彼には、ヘルシンキの訪問先2ヶ所に、連絡を取ってもらい、スケジュール調整なども全てお任せしてあった。単なる通訳者ではなく、ヘルシンキにおける我々の総合案内役でもある。実際に、オペラを見たいとか、レストランの紹介をしてほしい等いろいろな、お願いをしたが、快くコンタクトをとることや紹介を引き受けてくれた。

 NKLまでは、トラムで行くとの事である。 これはいい。いろんなものを体験したがっている我々の思いを見透かしているようだ。(我々の事を研修だからあまりお金に余裕がないと思ってくれたのかもしれないが・・・)ヘルシンキの朝は、少し涼しい。気温は12℃くらいだろうか。快晴というほどではないが、いい天気だ。予報では雨になると言っていたがこのままであって欲しい。

 宿泊しているホテルは、駅のホントに真横なのだが、ロータリーのようなところにあって、割と車や人通りは少なくなっている。そこからトラムの乗り場は、道路一本南側にあたり、その通りがメインストリートの一つになっているようである。ホテルから歩いて5分くらいだが、ヒルボ氏はすぐ近くにある郵便局や新聞社、途中の博物館など、周りのビルの説明を詳しくしてくれて、退屈しない。ヘルシンキ駅正面も左手に見える。夜見た顔とは趣が多少違って見える。

 ラッシュアワー時に違いないのだが、そんなに混雑しているという印象はない。トラムは数系統が乗り入れており、ひっきりなしに来るようだ。そのためにか乗り場には結構人がいる。市民の足として、確実に根付いているようだ。
朝のヘルシンキ駅前の写真 ゴミが落ちていない
ヘルシンキ駅前
町の中を走るトラムの写真
町並みのトラム
トラム乗り場の写真
トラム乗り場
トラム乗り場の写真2
トラム乗り場その2
 乗車すると運転手一人のワンマンカーであり、運転手の近くの前方ドアが乗車口となっている。そこでは本日の会計担当者が7人分の料金を払っている。ヘルシンキのトラムは前払い制となっているのだ。ヒルボ氏はどうするのかとみていると、やおら胸の内ポケットから定期のようなものを取り出し、車内にあるなにやら変な機械にかざしている。
ICカード読み取り機の写真
ICカード読み取り機
トラムには自動読み取機が付いている
トラムには自動読み取機が付いている
 さぁ、好奇心が湧いてきたぞ。ヒルボさんの説明では、非接触式自動定期・回数券読取機(ヒルボさんがこんな日本語を知っているとは思えないが・・)のようだ。予め購入したICカードで確認するもののようだ。第一感、確かに便利だと思った・・・・・が、同時に日本での普及は難しいかもしれないとも思った。この機械にカードをかざすかかざさないかのチェックはどうなっているんだろう。これくらいの人口(トラムの利用者)なら、超満員になることも少ないだろうから、乗客同士が相互監視のようなことができると思うが、それでも日本を含め他の国ではどうだろうか?かざす真似だけするとかで正直者がバカをみるような事にならないだろうか?そう考えること自体、もう心が濁っているのだろうかなぁ?
 トラムは、ヘルシンキの街中のビルをぬうようにして走っている。レールだけがひいてあるような道だが、車もうまくトラムをよけながら走っている。2駅も過ぎると、トラムはヘルシンキ一番の繁華街に入った。車窓にはデパートや商店が立ち並んでいる姿が続いた。日本でいえば、さしずめ銀座通りなのだろうが、残念ながらやはりその規模からは、金沢香林坊っていう感じの方がどうしても強く思える。そんな景色が突然途切れたと思ったら、広々とした空間が拓けてきた。そしてヘルシンキで最も象徴的な建物が車窓に映し出された。 町の中を進むトラムの写真
町の中を進むトラム
 元老院広場と大聖堂である。「ふぁ~。綺麗なもんやねぇ。」
 誰からともなく歓声に似た声が漏れた。ゆったりとした敷地の中で、象徴性をさらに際立たせるかのように高台にある様は、ホントに綺麗な白亜の荘厳とした建物である。いずれゆっくりと見学するつもりであるが、その白い壁の感じが、どことなく姫路の白鷺城に代表されるような白漆喰の壁を持つ日本の城郭と共通点があるような気がした。トラムは、この景色を少しでも長く我々に見てもらおうと思っているのか、広場の角を左に曲がり込んでいった。

トラムの窓からみた大聖堂院の写真
大聖堂をトラムから撮影
 その後もトラムは、花や果物などの露店が立ち並ぶ広場の近く等、ヘルシンキの街中をトラムの持つ独特の情緒というか雰囲気で、我々を運んでくれている。ヒルボ氏は、勝手知った街並みでもあり建物の解説を交えながら悠然としていたが、20分くらい経つと、窓の外を気にしだした。NKLは、ヒルボ氏でも初めて行く所のようであり、案内役として間違うわけにいかないという責任からの所作であろう。『次で降ります。』
 ヒルボ氏は、我々に告げた。短い時間ではあったが、楽しい小トリップであった。
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