ラハティ駅からヘルシンキ駅へ

 ラハティの街に入り、鉄道の駅に先にいってもらうことにした。適当な時間に列車があればそれに乗り、なければ高速バスにするつもりであった。
児島先生に運転してもらっていたので、問題なく駅まで到着した。やっぱりよく知っている人に居てもらうと助かるものだ。ラハティの駅は、結構古めかしく、思ったより小さい感じだ。駅というより郵便局のように見えた。早速、児島先生の案内で駅構内の切符売り場に行った。重厚な木製ドアの向こうが窓口のようで、先生はさっと入っていく。待合スペースよりも広い部屋作りだ。
ラハティの駅の写真
ラハティの駅
 きっと冬の期間、切符を購入する人が寒くないようにとの配慮からなのであろう。それにしても広すぎる気がしないでもない・・・。
キップ売り場の写真
キップ売り場
駅の入り口の扉の写真
駅の入り口の扉
 まず汽車時間の確認であるが、レンタカーの返却手続きをして、それからこの駅に戻って来なければならないので、最低30分くらいは要るだろう。そう考えて時刻表を見ると、30分程後に列車が一本ある。ギリギリの感じなので、児島先生にどうするか聞いてみたが、何とか大丈夫やろ、ということだったので、その列車に乗ることにして、ヘルシンキまでの切符を7枚購入した。
 フィンランドの切符制度は独特で、長距離列車の場合、普通であろうが座席指定となるようだ。そして一番驚いたのは、列車に乗る時間帯(切符の有効時間)が決まっていることである。
キップの写真 バーコードが付いている、横長なキップ
キップ
 いま購入した切符の場合は、18:04~19:26の間有効で予約した列車の座席は5号車25番という事になる。この有効時間内にある列車はこの本だけであり、つまりはこの列車にだけ有効ということになる。そして時間との戦いがここから始まった。思ったより厳しいものがある。

 行程は次のようになる。まずレンタカーを返しに行く。レンタカーを返すときは、燃料を満タンにして返さなければならない。そう、今から30分くらいの間で、駅からレンタカー営業所の近くのガソリンスタンドで燃料をいれ、営業所でレンタカー返却手続き(精算も含む)をし、また駅まで戻ってこなければいけないのだ。

 どこかで予想外の事態が勃発して時間をくうと列車に乗り遅れることになり、切符は無効になってしまうのである。無効だけなら、お金だけの問題となり、まぁいいんだけど、付いて行った人はラハティに置き去りということになってしまい、ヘルシンキまで一人でなんとか行かなければいけない破目になるのだ。 そういう難しい事は一人に託し(犠牲を少なくするため?いやいや万が一の事があっても一人で行動できる人を選任したのです。)、残ったものは駅構内で適当に時間をつぶすことにした。 駅舎内はそんなにも広くなく、kiosk:キオスク(フィンランド語です。)が1店あり、時間待ちの乗客が十数人と我々がいるのだが、それでほぼ一杯である。
キオスクでお買い物をしている写真
キオスクでお買い物
駅の中で待っている写真
駅の中
 人口規模は高岡に近いと思われるが、駅の賑わいは伏木か戸出ほどだろうか。なんで切符売り場があんなに広いんだろうとまた、思われた。駅にいるメンバーは、キョロキョロと駅構内を見渡しているだけだが、時間だけは否応なしに過ぎて行く。発車時刻までもう10分ほどだが、大事な使命を負ったメンバーがまだ帰還していない。
 そのうちにとうとう居ても立ってもいられなくなってきて、駅正面まで見に行くが、数分は何の変化もなくただ過ぎて行った。段々と我々の顔にも焦りの色が出始めていた。「まだ見えん?」、「弱ったなぁ、どうする?」「一人で置いてきぼりにしても、何とかするやろうけど・・・」などと言ってはいるが、本当に心から心配し、万が一の場合は切符を無効にしてでも全員で待とう!と決心した。そう考えたまさにその時、表通りを見覚えのある車が一台、こちらに向かってすっ飛んで来るのが見えた。「来た!来た!あれやわ!」間違いなく児島先生の車である。 心配げに外で待っているメンバーの写真
心配げに外で待っているメンバー
 到着してからも慌しい。なんでもレンタカーの営業所がもう閉まっていて、明日、児島先生に精算をお願いするので、お釣りのないように220ユーロほどすぐ用意してくれとの事。3人がかりほどでなんとかきっちり用意し、手渡すことができた。その他にも先生へは通訳としての謝礼のお渡しやらで、てんやわんやだったために、簡単な挨拶だけになってしまったが、そこでお別れをした。時間にせかされながらも、ギリギリで列車の発車時刻に間に合った。
 ヨーロッパでは特に改札はないので、ホームにそのまま続く出口から、荷物だけは忘れないようにして出ればよい。それにしてもみんな荷物を多く持っている。大型の旅行カバンの他にリュックサックや手提げカバンなど。連絡や記録用のパソコンやプレゼン用にとプロジェクタまでも持ってきているのだから仕方がないとしたものだ。駅舎の外へ出ると、乗車ホームへは、地下道からあがっていく事になっている。重たい荷物を持ちながらで、階段を下がって上がって、やっとの思いでホームに着いたのだが、なにやら雰囲気が異様なのに気がついた。 駅のプラットホームの写真
駅のプラットホーム
プラットホームに横付けのパトカーの写真
プラットホームにパトカーが・・
 何とホーム上にパトカー(!)がいて、警官も数人が物々しい感じで、待ちかまえていたのだ。『おっ!あんたを迎えに来とるよ。』と、近くのメンバーをつかまえて、お決まりのフレーズのやり取りをした。『でも、なんなんかね。』やはり、まさかとは思うが、この時節柄テロとか銃犯罪とかに巻き込まれる可能性が全くないとは言い切れないから、多少不安もよぎった。その物々しさを遠巻きに見ながら居たが、どうやら言葉はわからないが雰囲気から、犯人(容疑者?)護送の受け渡しのようである。
 時間ぎりぎりだったから、列車が向こうから近づいて来ているのがもう見えている。もちろん、事の顛末を見たいという思いは強いのだが、ホームには結構乗客もいるし持っている荷物も多い、さらにさっきも書いたが、乗車するのは普通列車でも、座席が決まっているために、その車両の方に取りあえず急がなければならない。 そんなこんなで、強烈に後ろ髪を引かれてはいたのだが、結局は、その警官配備の真相は最後まで確認できなかった。『あ~あ、残念!』偽らざる、お祭り好きの我々の心境である。
 荷物を乗降口付近の荷物ラックに預け、客室へ入った。5,6列座席があるが、なぜか同じ車両なのにまたドアがある。何でここにドアが必要なのかはわからないが、我々の座席ナンバーはこの先にあるようである。座席は通路を挟んで右と左で向きが逆になっている。我々の席は進行方向に向かって左側で、後ろ向きに座る事になる。座席シートはゆったりとしたもので優雅な感じがし、とても普通車とは思えない。もしかしてここは一等車なのではと思えたくらいだ。例によっておのぼり軍団は、あらゆる物に興味を持って記念写真よろしく撮りまくっている。 席について佐野さんと能登さんの写真
座席にすわる
 車掌が検札に来ると、これしか知らないフィランド語で話しかける。「Paivaa!(こんにちは)」でも、こんな簡単な言葉一つで、車掌の顔から素敵な笑顔が見られるのである。我々の標榜するヒューマンネットワークの基本がそこにもあった。
 また、窓際によくある上着掛け用フックにも、いささか大げさかもしれないが感動した。日本では普通2本しかなくて、通路側の人が掛けられないということをまま経験するが、こちらはしっかりと4本並んでいる。不公平を排除してあると、そう思った次第なのである。
上着掛けの写真 4人分がある
上着掛け

 車窓に映る景色は、町並みを抜けるとすぐに、またあの見慣れたフィンランドの牧歌的なものへと変わって行った。ヘルシンキまでは約1時間。こんな短い時間であるが、メンバーはさまざまな時間の過ごし方でくつろいでいる。いつのまにかドアを隔てたスペースにある客席を訪問して、女子大学生と英会話実践を兼ねた独自交友を楽しんでいるものもいる。

見慣れた畑の風景
見慣れた風景
 贔屓目に見ても(聞いてもかな?)彼女の方がはるかにネイティブに近い。ユバスキュラの盲学校でもパルマリ先生は流暢な英語で時々話されていたが、そういう教育畑の人だけでなく、フィンランドでは、英語がほとんど公用語化して使用されている事が、まさにこういう交流を通して実感された。(でも、いつ、どんなキッカケでこの交流が始まったんやろ?) その他のメンバーも、それぞれの時間を楽しいながら、次なる訪問地ヘルシンキに思いを馳せているようである。 現地の高校生と会話のお勉強中の石王丸くんの写真
現地語お勉強中
くつろぐ野田さんの写真
野田さん
ホットする小松さんの写真
小松さん
すいているのに何故か二人で座っている西田さんと室谷さんの写真
西田さんと室田さんなんか変な二人
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